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■売れたマーケティング、バカ売れの法則(売れたま!)■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.001 2003/12/25
購読者:4,008名 (まぐまぐ:3,804 メルマ!:167 Macky!:37)
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■■■■__今日の法則:自分の買い物から学ぼう!__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆ 今 日 の ポ イ ン ト ◆◆◆◆◆◆◆◆
自分が買い物をしたときに、なぜ買ったのか・買わなかったのかを色
々考え、それからマーケティングを学んでみましょう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あ い さ つ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
クリスマスはいかがお過ごしだったでしょうか? 今年もあと1週間
ですが、頑張りたいと思います。売れたま!も、今年6月に発行を始
め、4,000名の読者様に配信するまでに成長いたしました。ご購読・ご
声援ありがとうございました。引き続きのご愛顧、よろしくお願いも
うしあげます。
年末・年始は、週1回ずつの配信で、いつもとは違う趣向でお送りし
ます。年末号、ちょっと長いですがお楽しみください!
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◆今日のテーマ:自分の買い物から学ぼう!
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●自分の買い物から学ぶマーケティング
自分の買い物経験は、マーケティングを学ぶ良い材料になります。で
すからやってみましょう!・・・と言われても最初はやりにくいでし
ょうから、今日は、私自身の買い物経験をネタとして、そのやり方を
ご紹介します。
*予告でお知らせしたものとテーマが異なっていますが、そちらの方
はまた機会を見てやってみたいと思います。
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◆購買者心理:ノートパソコンの買い物
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●ノートパソコンの買い物
私は、先日ノートパソコンを4年ぶりくらいに買い替えました。ある
ブランドに決めたのですが、どうやって決めたのでしょうか?
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いつもは自宅でもオフィスでも、デスクトップPCを使っているけど
12月後半〜1月は、家にもオフィスにもいないことが多い・・売れ
たま!も書くし、仕事もあるし、モバイル用のPCが必要だな。今持
ってるやつは古いから買い替えよう!
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▼陳腐化:ニーズの発現
PCのような、進歩が激しい商品は、時間がたてば今持っているモノ
はどんどん古くなります(陳腐化)。
しかし、あなたの商品が、そんなに進歩が激しい商品で無い場合は、
意図的に陳腐化を起こしてあげる必要があります。それを計画的陳腐
化と呼びます。日本車は、10年間でも使えますが、新モデルを出して
今持っている車を「旧モデル」にし、買い換えを促進するのです。
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よし、じゃあインターネットで調べてみるか。ノートPCと言えば、
まずは、あのメーカーだな。あとは、ここと、あそこくらいを見てみ
よう。どんなPCが出ているんだろう?
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▼基礎情報の収集
PCの様な高価な買い物の場合は、まず情報収集をします。昔は、P
Cに詳しい友人や職場の詳しい人に聞く、という行動を取ることが多
かったのですが、最近はまずインターネット、特にGoogleなどの検索
サイトに行くことが多いです。情報収集行動は、この5年くらいで劇
的に変わりました。
ですから、Google等の検索エンジンに引っかかることは重要です。そ
のような技術をSEO(Search Engine Optimization)と呼びますが、私
は専門家では無いです・・・。GoogleでSEOで検索すれば、色々教え
てくれるサイトがあります。
*Google : http://www.google.co.jp/
▼純粋想起と助成想起
「ノートPC」と考えて、頭に浮かぶメーカーがいくつかあります。
このような思い出し方を「純粋想起」と言います。「ソニーのVAIOを
知っていますか?」と、ブランド名の助けを得て、思い出すのは「助
成想起」と呼びます。「ノートPC」と言われただけで頭に浮かぶの
が、「純粋想起」です。
▼考慮セット(Consideration Set)
このように、顧客の最初の選択肢に入ったメーカー・機種などを「考
慮セット」と言います。このセットの中に入れないと、買っていただ
くのは難しいです。だからこそ、知名度を高めておく必要があるので
す。「ノートPCと言えばXX」という連想をお客様の頭の中に作っ
て、考慮セットのなかに入れてもらうのです。
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最近のノートPCは性能がいいなあ。よし、これなら買った方が良さ
そうだ。どんなのがいいかな。持ち歩くから、小さくて軽いのがいい
な。でもあんまり小さいと、打ちにくいからダメだし。新幹線とか空
港でも使うから、バッテリーの持ち時間も長くないとな。もっと探し
てみよう。予算は、15万円くらいであるといいなあ。
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▼選択基準
「用途」という切り口で、選択基準を考えています。今回は、
・サイズ
・バッテリー
・キーボードの打ちやすさ
が、選ぶ際の基準になっていますね。
何かを買う際には、意識的・無意識的に、ある選択基準を持って買い
物をします。この選択基準を満たさない機種は除外されますから、お
客様の重要な選択基準を知ることは重要です。
携帯用ノートPCの場合は、サイズ・バッテリーは他のことを犠牲に
しても重要でしょう。携帯用で無く、家庭内で使うノートPCの場合
は逆にサイズやバッテリーをあまり気にする必要は無くなります。
もちろん、予算というのも重要な選択基準になります。
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よし、この機種とこの機種あたりなら大丈夫そうだ。あとはお店に行
って実際に触ってみよう。
(お店で)
えっと、これか。思ったより小さいな。これは打ちにくいや・・・。
これはダメだなあ。こっちのは、小さい割に見やすいし、打ち安い。
でも18万円か・・・。予算オーバーだなあ・・・。
店員:どんなのをお探しですか?
私 :え、あ、私? えっとねえ、小さくて打ちやすいやつ。
店員:それでしたら、今ご覧になっているものと、あとこちらですね
私 :え、それ薄くていいな・・・でも30万円? それは高いなあ
店員:でしたら、こちらはいかがですか? こちらも薄いですよ
私 :え、13万円? そんなのもあるんだ? 知らなかった。
店員:ただ、ちょっとハードディスクの容量が小さいんですよ。15ギ
ガしか無いんですね。
私 :え、じゃあOS入れたら一杯じゃない。ちょっと見さしてね。
・・・やっぱり。空きが5ギガしか無いや。それは厳しい。
店員:あとは、今お客様がご覧になっていた、こちらですね。こちら
は性能的には問題ないと思います。
私 :なるほど
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▼店頭でやったこと
店頭では、カタログからだけではわからない、重さ・大きさのチェッ
クや、キーボードの打ちやすさを調べています。高い買い物ですから
実際に触ってからでないと買えません。もし店頭に実物が無かったら
他の店に行くか、その機種を買うのはやめるでしょう
▼店員の影響
ここで、私が考えていなかった2機種が店員から提案されました。30
万円の機種と18万円の機種です。30万円の方は高すぎますが、13万円
の方は、ハードディスクの容量さえあと少しあれば、非常に良かった
んです。
このように、事前に色々考えていったとしても、店頭・店員で受ける
影響というのは軽視出来ないのです。色々考えて戦略を立てるのも大
事ですが、お客様が実際に買うのは店頭ですから、店頭の充実は非常
に重要であることがわかります。
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どうしようかなあ
30万円の高性能機、しかも軽くて薄い。かっこいい。欲しい。
18万円のもともと考えていた機種。予想通り、悪くない。
13万円の安い機種。しかし、ハードディスクが明らかに足りない
ううむ、考えどころだ・・・
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▼意思決定基準
普通、高くて良いモノ vs 安くてそれなりのモノ という比較に
なりますね。ある意味当たり前です。
その場合、何らかの基準を設けて意思決定します(意思決定基準)。
さあ、あなたならどれを買いますか??
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30万円はダメだ。いいけど高すぎる。
13万円のもダメだ。安いけど、ハードディスク足りない。そうなると
この、18万円か。前に買ったノートPCと同じブランドで、信用でき
るし、よし、これだ! 「店員さん、これ下さい!」
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私の場合は、消去法で、18万円の機種が残りました。あとは、最後の
関門です。
▼「本当にこれでいいのか?」
高いものを買うときには、「これでいいのか?」と自問します。ここ
で、「信頼できるブランドか」「他人から見たらどう写るのか」など
という心配事が出てきます。
私の場合は、このメーカーは、前にノートPCを買ったときのメーカ
ーでもあり、マニアでの評判もいいブランドでもあったので、スッパ
リ決められました。
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あれ、メモリ増設セールやってる。今増設すれば3000円オフか。確か
にメモリ増設効果って大きいもんな。性能ワンランクくらいアップす
るから増設してもらおっと。後で自分で買って増設するのも面倒だか
ら。15,000円は痛いけど、後で自分でやるよりはいいや。
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▼クロスセル:お客様に違うものを追加で売る
私は、PCの知識がそれなりにあり(第二種情報処理技術者です)、
メモリの必要性がわかるので、「メモリ増設セール」というPOPを
見ただけで買いました。
しかし、普通の人は、メモリ増設の必要性をあまり感じないので、P
OPだけでは買わないでしょう。店員さんが、「メモリの増設もされ
たらいかがですか?」と奨めれば、それで売上が15,000円も上がるこ
とになります。何でやらないのでしょうね??
店員さんの名誉のために言っておくと、インターネットのプロバイダ
は奨められました。が、インターネットにはとっくに入っていたので
もちろん入りませんでした・・・。メモリより、そちらの方が儲かる
んでしょうね、きっと。
▼不安を売る
クロスセルの際のポイントは、不安を売ることです。
「メモリを増設しないと、動作が少し遅れてイライラしますよ」
「あとで自分で増設されるのは、結構面倒ですし、最悪壊しますよ。
今増設されれば、私どもでその作業をしますよ」
などと言われれば、増設しようかな、と思います。私の場合は、実際
これを知っていたので自分から買いました。
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(買って帰った後で)
あ、そう言われれば携帯用のケース買い忘れた。あれ、ひょっとして
マウスも無かったかな? もう・・・又行かなきゃ。二度手間だあ!
もういいや、家の近くの店で買おう!
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▼クロスセルその2:後工程マーケティング
携帯用パソコンであれば、ケースもいりますよね。店員さんに、「ケ
ースやマウスはご入り用ですか?」と聞かれれば、「あ、そうだ」と
思い出してそこで買うでしょう。
パソコンを買った後のこと(後工程)を考えて、ケース、周辺機器、
ソフトなども一言奨められれば、そこでまた売上が上がったはずなん
です。後で買うとなると、違う店に行くかもしれません。
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◆あなたのビジネスへの応用:自分の買い物経験から学ぼう!
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●自分が買い物をしているときの頭の中を見直す
いかがでしたか? パソコンを買うだけでも、結構多くのマーケティ
ングテクニック、売れたま!メソッドが使われている(または使われ
るべきだった)んですね。
このように、自分が何か買い物をしたあとで、
▼自分はどのような行動をとったか
▼どのようなことを考えたのか
と、ちょっと考えてみることはマーケティングの良い練習になります
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◆ビジネス上の利点:最高かつ無料のリサーチ
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●無料・時間もかからない
この手法は、当然無料です。自分が買い物をしている間やした直後に
すぐお手軽に出来ます。
●自分の買い物なら、購買者の本音がわかる
マーケティングリサーチをしても、人間の本音は探れません。私はあ
るブランドの腕時計をしています。リサーチャーに、「その時計を買
った理由は何ですか?」と聞かれたとしたら、何と答えるでしょう。
<建前の回答>
「このブランドが好きだし、デザインがよい時計だから」
<本音の回答>
「自分のステータスを表す高級な時計が欲しいが、かといってみんな
がしている、あのブランドは、「いかにも」という感じでイヤ。だけ
ど、高級と言うのが一目でわからないと・・・。」
というように、グループインタビューなどを行っても、リサーチャー
に答える回答は縦間です。購買者の本音を知るのは大変難しいです。
しかし、自分の買い物であれば、本当の本音がわかるわけです。
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◆今日のシャチョーさん(応用例)
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●パソコンショップの店長さん
パソコンショップの店長さんが、このメールを読んだようです。店員
に話しかけています。
店長:なあ、今日の売れたま!、パソコンだったな。
店員:お客さんってあんなに色々なこと考えているんですねえ
店長:こっちは、毎日売ってるからわからないけど、確かにお客様に
とっては大きい買い物だからなあ
店員:うちはどうすればいいんでしょうねえ? パソコンを買えばい
いんでしょうか・・・? 自分の経験として・・・
店長:! それだよ!
店員:え、店長買うんですか? パソコンショップの仕事してるのに
店長:いや、客として競合店で実際に買うふりをしてみるんだよ。そ
うすれば、どんな対応をされるのか、どういう陳列だと、見や
すいのか見にくいのか、とか、お客様の目線でわかるだろ
店員:なるほど! じゃあ今度の休日にでも、自宅の近くのショップ
で買い物のふりをしてみますよ!
店長:おお、俺もやってみるよ。やったら、気づいた点を話し合って
みて、うちが改善できるところはやってみような。
店員:はい! これ、無料のマーケティングリサーチですね!
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◆今日のもう一声
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●自分の買い物だけでなく、配偶者・恋人・ご家族などの、本音で話
せるかたの買い物経験についても、聞いてみましょう!
◆◆◆◆◆◆ お 知 ら せ : 発 行 予 定 ◆◆◆◆◆◆
今年は、この号が最後になります。2004年第一号は、元旦早々に送る
予定です。1月4日より平常通りに戻ります。
年末年始号についての感想をぜひいただきたいので、para@Lpara.com
までぜひメールください!
では、よいお年をお過ごし下さい!! また来年お会いしましょう!
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読者さんのビジネスに役立つメルマガの相互紹介をしませんか?
para@Lpara.com まで御連絡ください。
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▼今日の日記▲
今のオフィスに移って以来、3年ぶりにレイアウト変更をすること
になりました。私の机も移動しますので、お片づけが大変・・・。大
掃除変わりにもなるし、せっかくなのでキレイにしますね。
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
●メルマガの内容の実行は、読者さんの責任でお願いします。
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の販売・コンサルティングへの利用で利益を得る行為は禁じます。
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Copyright 2003 Yoshinori Sato
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◆次号予告:新年特別号
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●今回は、購買意思決定プロセスでした。次号は、またちょっと違う
切り口でお送りします! お楽しみに!
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
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