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 ■ 売れたマーケティング、バカ売れの法則(売れたま!) ■ 
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━対談編Vol.005 2004/02/02
購読者:5,751名 (まぐまぐ:5,537 メルマ!:174  Macky!:40)

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 ■■■__なぜあの人だと話がまとまるのか? 前編__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

マーケティングで、「成果を出す」には、上司・部下・顧客などの力
の結集が重要。それに必要なのが「話をまとめるスキル」。相手の言
いたいことを理解するのが話をまとめる第一歩です。

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◆今日のゲスト:経営コンサルタント&コーチ 田村洋一さん
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今日は、私のディベートの先輩でもあり、よき師匠でもある田村洋一
さんとの対談をお送りします。田村さんは、1月に「なぜあの人だと
話がまとまるのか?」という本を明日香出版から出版されました。先
週、五反田の和食店で2時間たっぷりとお話を伺いました。

田村さんは、バージニア大学MBA。野村総研、シティバンク、ジェ
ミニコンサルティング、トランスコスモスで数多くのプロジェクトを
運営した後、一昨年、コンサルタントとして独立。現在メタノイア・
リミテッド代表取締役。

もし、ディベートをビジネスと絡めて教えられる人を、私以外で一人
挙げろと言われたら、田村さんを挙げるでしょう。ビジネスとディベ
ートの両方を知っている、希有な人材の一人です。


佐藤:田村さん、「なぜあの人だと話がまとまるのか?」出版おめで
   とうございます。略して「なぜまと」本の売れ行きは?

田村:やあ、どうも。おかげさまで好調みたいですよ。

佐藤:私が行く書店でも、平積みにされて目立ってましたよ。

田村:「なぜまと」かあ。略称は考えてなかったけど、悪くないね。
   佐藤さん、売れたま!、エルパラとか全部4文字だね。

佐藤:経験的に、4音節くらいが限界なんですよ、覚えやすくて口に
   出せるのは。「マクドナルド」だと言いにくいので「マック」

田村:なるほど

佐藤:なぜまと、私も読みましたけど、いいですよね。上を目指すビ
   ジネスパーソンには必須のノウハウが詰まってて。

田村:ノウハウというよりは、仕事人としての態度とか、考え方とか
   そういうものを「話がまとまる」という切り口で書いたんだ。

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◆「話をまとめる」とは
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佐藤:なんで「話がまとまる」なんですか?

田村:仕事の成果を出すためにはそれが必須だから。一人で出来るこ
   とには限界があるから、大きい成果を出そうと思ったら、チー
   ムなり複数の人で動く必要がある。

佐藤:そうですね。

田村:そのときに、「話がまとまる」スキルが重要。

佐藤:強引にまとめればいいってもんでも無いですよね?

田村:ここでいう「話がまとまる」っていうのは、過程をとばして、
   強引に結論に持って行くことでは無いんだ。理解して、納得し
   てもらい、自発的に動いてもらうように仕向けること。

佐藤:なるほど、自発的に動いてもらうことがポイントだと。マーケ
   ティングでも同じですね。お客様に自発的に買ってもらうとい
   う点は。でも会社だったら、命令して終わりじゃないですか?

田村:いや、人は命令とかロジックじゃ動かない。理解し、納得しな
   いと、人は本気で動かないんだ。命令で動いても、それは心か
   らの動きではないから、100%の成果が得られない。だから、成
   果を出したい仕事人全員に、話をまとめる能力は、不可欠。

佐藤:だから、なぜまと本は仕事人全員に手にとって欲しい、と。な
   んでそう思うようになったんですか?

田村:もともと自分自身、話をまとめるのが得意じゃなかったんだ。
   話がまとまらなくて苦労することが山ほどあった。

佐藤:するとどうなるんですか?

田村:成果が出ない。頭で仕事するコンサルタントは綺麗な絵を描く
   んだ。でも、クライアントが納得して動かなきゃ意味がない。

佐藤:どんなに素晴らしい戦略を提案しても、実行されなければ成果
   が出ないですもんね。「話をまとめる」のは、「実行を促進」
   するための道具だと。マーケティングでも顧客を動かす、とい
   う意味では同じなので使えますね。

田村:そう。昔はよく、正論を大上段で振りかざしたりしました。

佐藤:ああ、私も昔よくやりました。ディベーターにありがち(笑)

田村:そうそう(笑)。まとまっていないときに理屈・正論をふりか
   ざすと、火に油を注ぐ(笑)。ロジカルシンキング」だけじゃ
   足りない。その場の議論には勝てても、結局「納得」させられ
   なければ人は動かない。

佐藤:確かに。最近出ている交渉本とかロジカルシンキング本で、交
   渉を論理的に行え、みたいなものがありますが、それも時と場
   合によりけりですよね。

田村:そういう意味では、この本は、かなり「常識」に反する内容を
   含んでるね。

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◆説得したければ、説得しない
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佐藤:例えば?

田村:説得したければ、説得しない。

佐藤:? マーケティング的には良い売り文句ですが、その心は?

田村:説得しようとすると、どうしてもこちらの意見の押しつけにな
   る。そうすると、相手に抵抗が産まれる。

佐藤:じゃあどうすればいいんですか?

田村:体の力を抜くんだ。説得するのではなくて、相手の言うことを
   十分理解する。相手に同化する。

佐藤:今はやりの、聞く技術ですか?

田村:技術というよりは、姿勢。全身の神経を相手に集中させて、相
   手の言いたいことを全力で理解する。

佐藤:じゃあ、自分が言いたいことは言わないんですか? 例えば、
   営業でモノを売りたいときとか。

田村:いや、自分の言いたいことは、ある。でも、その場ではこだわ
   らない。こだわると、主張して、相手に押しつけてしまう。そ
   うすると、相手は納得しないので話がまとまらない。

佐藤:自分の言いたいことは心の奥底に持ちつつも、相手の言いたい
   ことを理解する、と。

田村:言いたいことをひたすら言っても、相手は納得しない。相手が
   黙れば、納得してくれたと思うかもしれないが、逆。自分の言
   い分を無視されれば、納得しない。だから、行動されない。

佐藤:営業でも、「うちの商品はいいんですよ」とまくしたてても、
   お客様の意見が無視されていたら、必ず断られますね。

田村:そう。だから、説得しない。

佐藤:でも、自分の言いたいことはいつ言うんですか? モノが売り
   たい場合は、いつかは営業をしないといけないですよね?

田村:もちろん。そうしないと、相手のいいなりになってしまうから
   「これを売りたい」ということを伝えるのはOK。でも、押し
   つけると、受け入れられない。

佐藤:売りたいと思いつつも、同時に相手の立場に立って考えると。
   こりゃあ難しいや。

田村:シンプルだけど、簡単ではないね。質問のテクニックのような
   小手先の技術ではなく、生身の人間を相手にする姿勢。身体で
   覚える。身につけると周りと差別化できる。だからこそ成果を
   本当に出せる人が少ないとも言えるかもしれない。

佐藤:なるほど、難しいけど、身につけたときのリターンも大きい。
   そのやり方は本に書いてあるんですね?

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◆「相手主義」の実践
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田村:そう。さすがにここでは全部言えないので、具体的なことは本
   を見て下さいね(笑) とにかく、全身全霊で相手の立場で考
   える。これを「相手主義」と呼んでいます。

佐藤:別に、理想論的に、「お客様のことを第一に考えなさい」では
   無いですよね? それを言うと「最高のモノを無料であげる」
   ことがお客様第一ですから。商売にならない。

田村:それはありえない。そうではなくて、売りたい、説得したいっ
   ていう目論見はあっても、相手にそれを感じさせない。感じさ
   せると、抵抗が生じて、「話がまとまらない」。

佐藤:相手主義と、相手にひきずられるのは違う、と。

田村:そう。「相手主義」では、自分は、相手の能力、ニーズ、答え
   を引き出す「触 媒」になる。触媒は自分の考えを相手に悟ら
   せてはいけない。無邪気さが必要なんだ。だから難しい。

佐藤:親子関係なんかもそうじゃないですか?

田村:そう! 一方的な命令も時には必要だけど、相手の行きたい方
   向に相手を伸ばす点は同じ。相手主義は、理想論では無く、相
   手の信頼感を得て、コミュニケーションを取る「道 具」。話
   をまとめる「道 具」

佐藤:でも、それ難しいですよね・・・

田村:うん。一朝一夕に身に付く技術じゃないよ。だから修練が必要
   なんだ。なぜまと本に書いてあるのは、これを身につけるため
   のレッスンというか、練習方法なんだよね。

佐藤:なるほど、説得したければ説得するな、その前に相手のニーズ
   を全力で把握しろ、ということですね。相手主義という道具で
   相手の信頼感を得て、コミュニケーションのベースを作って、
   売るのは、その後だと。マーケティングでもニーズを把握する
   のは鉄則ですし、このスキル、営業にも使えますね。と強引に
   まとめて(笑)、木曜日に続きます。
   

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